カイゼンの基本

2016/9に行われたデブサミ関西での登壇資料です

1. カイゼンの基本 ∼組織・プロダクト・プロセスをどう改善するか∼
2. 吉羽龍太郎 / Ryuzee.com ✤ アジャイル開発/DevOps/クラウドに関する 従量課金型コンサルティングサービスを提供 ✤ http://www.ryuzee.com @ryuzee
4. 完璧が達成できないことは理解している。 でも完璧を目指すことをあきらめはしない (TOYOTAの中でよく言われる言葉)
5. 完璧を目指すならまず終わらせろ Done is better than Perfect
7. カイゼンとは? ✤ 自分たちの仕事を「安全」にする ✤ 自分たちの仕事を「簡単」にする
8. 7つのムダ ✤ 作りすぎのムダ  => 使わない機能 ✤ 手待ちのムダ => 仕様未決で開発待ち ✤ 運搬のムダ => 他部署への引き継ぎ ✤ 加工のムダ => ドキュメントの体裁 ✤ 在庫のムダ => 同時にたくさん着手 ✤ 動作のムダ => 不要な作業、遅い作業 ✤ 不良を作るムダ => バグ修正
9. 忙しいからカイゼンできない? ✤ カイゼンしないから忙しい ✤ 時間ができたらカイゼンしよう、だとカイゼンできない ✤ 改善はニーズに基いておこなわれる ✤ ニーズがなければ単なる「思いつき」で終わったり、投資しただけの効果 が得られない
10. 負のサイクル ✤ やることがたくさんあるので急いでやる ✤ 急いでやるとミスが増える ✤ ミスの修正もやらないといけないのでやることが増える
11. 春の大カイゼン運動 生産性 改善の数 90 67.5 45 22.5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
12. カイゼンを持続可能なペースで続ける ✤ 強制的に立ち止まれる仕掛を入れる ✤ たとえばスクラムではふりかえりはカイゼン点を洗い出すイベントである と同時に強制停止のイベントでもある ✤ 人間は止まるのがそもそも苦手なので、機械的に停止させる
13. カイゼンのカタ ✤ 向かいたい方向や挑戦を理解する ✤ 現在の状況を把握する ✤ 次の目標となる状況を設定する ✤ 目標に向かって繰り返す
14. 全体をカイゼンするか部分をカイゼンするか? ✤ もちろん状況によるが ✤ まず部分の穴を塞ぐ活動が必要 ✤ これは部分最適化ではない ✤ バケツで水をリレーするときに、途中のバケツに穴が空いてたら?
15. カイゼンと最適化を分けて考える ✤ 「現状の能力 = 仕事+ムダ(7つのムダ)」 ✤ 漏れ(=欠陥=不良をつくるムダ)をなくすのが先 ✤ そのあとにほかのムダを0に近づける(終わらない旅) ✤ 作業改善と設備改善を混同しない
16. Opinion vs Fact (意見か事実か) Problem (問題) Solution (解決策) 計測 Fact (事実) デプロイ 仮説 Opinion (意見) 設計
17. 自工程内の問題を減らす(漏れをなくす) ✤ 受け取り手側の品質基準で、完全なものを渡す ✤ その基準を満たしていることを自工程内で担保する
18. 品質 ✤ 100%良品(部品・作業)でなければならない ✤ ある工程が不良を出したらすぐに自動で知らせる仕組み。そしてすぐ前工 程に返す。再発防止を行う ✤ 不良が起こるのは標準化・合理化が不十分で、作業方法や作業時間にムダ・ ムラ・ムリが発生するから ✤ 品質保証のための検査と工程が不安定で仕方なくやる検査は違う
19. 自働化 ✤ にんべんのついた自働化 (not 自動化) ✤ 機械に良し悪しの判断をする装置を組み込む。すなわち自動停止装置付き の機械。機械が異常で止まったときだけそこにいけばよいので1人で複数 を担当できる ✤ 異常の時に人が機械の代わりをしていては異常はなくならない (この考え をさらに人的作業にも適用)
20. 無停止杼換式豊田自動織機(G型)
21. 自工程内のカイゼンは効率より効果 ✤ 穴を塞ぐところに効率をもとめない ✤ 穴がある限り、「問題」を「効率的に」作り続けることになるから ✤ リソース稼働率幻想を一旦は捨てる ✤ ただし、頑張らなくてもミスややり直しをしなくて済むようにはする
22. 5Sとは? ✤ ムダをなくす考え方/改善の1つで仕事の一部 ✤ 整理 / 整頓 / 清掃 / 清潔 / しつけ ✤ 片付けができていないほどムダが多く成果がでない ✤ 保管スペース(=在庫)のムダ、探す時間のムダ、間違えるムダ、取りに行く ムダ…
23. 整理/整頓/清掃/清潔/しつけ ✤ 整理:必要なものとそうじゃないものを分け不要なものは捨てる (いつか 使う?は使わない…) ✤ 整頓:必要なものをジャスト・イン・タイムで取り出せるようにする。人 の動きや利用頻度で場所を決める。定位置を定める ✤ 清掃:きれいに掃除する=予防 (その時間を業務に組み込む) ✤ 清潔:整理・整頓・清掃を維持する ✤ しつけ:これらのルールを守らせる
24. 例えば? ✤ ✤ ファイルサーバにたまった大量のドキュメントを考えてみよう ✤ 古くて不要になったもの ✤ 作りかけのもの ✤ 複製されてちょっと改変されたもの ✤ 本当は必要なのに更新されていないもの 笑い話:あるドキュメントに「この記述をみつけた人にビール奢ります」 と書いたところ誰からも連絡がなかった
25. 全体最適を目指す ✤ 全体最適、すなわち ✤ ビジネス価値を「必要なときに」「必要なだけ」「届け続けられる」
26. でも一気にやらない
27. 流れ ✤ 流れを整えないと全体最適化できない ✤ 流れを整える作業のことを「整流」と呼ぶ
28. 流れの逆流を防ぐ ✤ 逆流は負のループ
29. 見えないものはカイゼンできない ✤ 現状を知らないと直せない ✤ 見える化は目的ではなく手段 (かんばん、あんどんも手段)
30. バリューストリームマップ ✤ モノと情報の流れを図で表したもの ✤ カイゼンの実行計画を考える際に、現状や未来や理想像を描くのに使う
31. VSMの例 引用元 トヨタ生産方式にもとづく「モノ」と「情報」の流れ図で現場の見方を変えよう!! マイク ローザー (著), ジョン シュック (著), 成沢 俊子 (翻訳)
32. 進め方 ✤ やっている作業の名前の洗い出し ✤ 作業の順序づけ ✤ 作業の成果物の定義 ✤ バリューストリームマップ化 ✤ 手戻り率の推定 ✤ LT/PT・作業単位 ✤ ボトルネックの特定 ✤ 改善案の検討
33. 探す ✤ 流れを妨げているのはどこか ✤ 流れが遅くなっているのはどこか ✤ 流れが逆流しているのはどこか
34. 流れが遅い ✤ リードタイムが長いところを探す ✤ バッチサイズ(一度に作業するサイズ)が大きすぎないか?
35. 例えばアプリケーションの要求 ✤ プロダクトオーナーやプロダクトマネージャーが詳細な要件をとりまとめ てたくさん溜まってから一気に渡す (a.k.a ウォータフォール) ✤ でも、開発チームは一度に全部作れるわけではない ✤ 要求の在庫が溜まる…
36. 在庫管理 ✤ たくさんの要求の在庫を管理しないといけなくなる ✤ さらに要求が増える ✤ 時間がたつにつれて不要になる要求も増える ✤ 優先順位がつけにくくなる。つけるのに時間がかかる ✤ 自分のところのチケットの数は?
37. 捨てる ✤ 作りすぎない ✤ 役に立たなかったら捨てる ✤ 捨てる基準をつくる / 捨てるかどうか判断できる指標を取れるようにする
38. それってジャスト・イン・タイム ✤ 1台の車を流れ作業で作る際、必要な部品が必要になったときに、必要な分 だけ生産ラインに届くこと(トヨタが目指していること) ✤ これが実現できれば、物理的にも財務的にも問題となる「在庫」をゼロにで きる ✤ 後工程が前工程に、必要なものを必要なときに必要な分だけ引き取りに行く ✤ 流れを作る / でかんしょ生産を避ける (=> 平準化、小ロットでの段取り替え、 持続性) / 治療より予防
39. カイゼンのパターン:工程をなくす(Eliminate) Before 工程A After 工程A 工程B 工程C 工程C
40. カイゼンのパターン:工程を統合する(Combine) Before After 工程A 工程B 工程A 工程C
41. カイゼンのパターン:順番を変える(Rearrange) 手戻り Before 工程A 工程B 工程C After 工程C 工程A 工程B
42. カイゼンのパターン:単純化する(Simplify) 工程B1 Before 工程A 工程B 工程C 工程B2 After 工程A 工程B 工程C
43. チーム ✤ 作業はチームを組んでおこなわれるので、チームで何個の完成品を作った かが重要 ✤ 人数が多いからといって成果が増えるとは限らない。ムダな仕事がでっち あげられる可能性も…。少人化を進める ✤ お互いの仕事の間に境界線を引かず、リレーのようにバトンタッチの区間 を設ける ✤ チームワーク。助けあい運動 ✤ 組織が恐怖で支配されているとどうなるだろう?
44. チームの能力を見える化してみよう
45. チームは進化する タックマンモデル 形成期 混乱期 統一期 機能期 解散期 人が集まるがまだ独立 意見を言うようになる 一緒に活動し、異なる よく機能するチームと 目的を果たし、チーム しておりコミュニケー が、一方で自分と違う 意見を受け入れる。目 なる。チームには一体 が解散する時期 ションが少ない 意見に抵抗を示すよう 的や期待値などが一致 感がある。自立性が高 になる する い
46. 組織の比較 # 従来型組織 うまくいってる組織 複雑、職種で分割 シンプル、プロダクトに焦点 個人 チーム 予測型 要求に対応 製造 プッシュ型、バッチ、大きなロット プル型、流れ、小さなロット 保守 事後 事前 品質 検査と修正 予防 管理 報告、監督、非難 見える化、自律的、ゴールに焦点 組織 人 スケジュール
47. カイゼンの進め方 ✤ チームで取り組む。現場が主体になって考える ✤ 目標をたてる。To-Beを描き、結果を数字で把握し見えるようにする ✤ 知恵(ソフト)を活用する。ハード(ツール)や手法に頼り過ぎない ✤ 漏れをなくす => 流れ(バリューストリーム)を良くする ✤ 今が最高だと思わない(変わり続ける) ✤ 試してダメなら他を試す(試行錯誤)
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株式会社アトラクタ Founder & 取締役CTO クラウドコンピューティング、DevOps、インフラ構築自動化、アジャイル開発、組織改革を中心にオンサイトでのコンサルティングとトレーニングを提供。認定スクラムプロフェショナル(CSP) / 認定スクラムマスター(CSM) / 認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)。Developers Summit 2016ベストスピーカー(1位)。

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